波の干渉のお話です。
 「波」は様々な状況で見られますが、量子論における電子の「波の様なふるまい」とは異なり、水の波は分子の集合体が波を成します。
 物質が波のようなふるまいをすることは「干渉」という現象が発生することで証明できます。
 この干渉ですが、波には大きい部分と小さい部分があり、この大きい部分と小さい部分が互いに干渉し、時には大きくなり、時には波が消滅します。
 同じ波の上下をさかさまにすることを「位相反転」と呼びますが、この位相反転を使って様々な波を消すことができます。
 例えば、船舶の船首の下、海面下には「丸い突起」があります。
 この突起物は何をしているかと言うと、切っ先が起こす波と正反対な波をあらかじめ起こし、切っ先で生じる波を打ち消しているのです。
 この干渉は音でも起こります。
 2つのスピーカーを持つオーディオの「片方の」プラスとマイナスを逆にすると、音が消えてしまいます。
 実際は両方のスピーカーから音は出ているのですが、位相が反転した波(音)が互いに打ち消しあい、音の「波」が消されてしまうのです。
 とある交通量の多い道路では「リアルタイムに採取した音を位相反転」し、スピーカーから流す事によって、車両が出す騒音を軽減しています。
 では本題です。
 今回の大津波警報では、3 メートルを超える津波が来るはずでしたが、実際は最大でも 1.4 メートルでした。
 前回のチリ大地震で起きた津波の事を考えると、実際には 3 メートルを超える津波が来てもおかしくはないのです。
 ではなぜ、今回は 1.4 メートルだったのでしょうか。
 その答えも波の干渉にあります。
 波は干渉しますから、海の深さや地形、途中の島などによって振幅は様々に変化し、互いに干渉します。
 平坦な海底であれば計算通りの波が来るのでしょうが、残念ながら海は平坦ではありません。
 また、まったく同じ場所で起こった地震であれば、ある程度似たような波にはなるでしょうが、数キロ違っただけで波の干渉は異なるのです。
 それでも海底の詳細な地図があれば、環境庁のコンピュータではある程度正確に割り出せるはずです。
 しかし、その地図は「軍事機密」なのです。
 何しろ、最も詳細な地図を必要とするのは「潜水艦」。
 その潜水艦にとっては戦略上貴重ですから、秘密なのです。
 従って、沿岸各国で詳細な海底図を共有する事なんてできないのです。
 より詳細な海底図面とスーパーコンピュータさえあれば、津波シュミレーションの精度は格段に上がるのですがね。
 余談ですが、今回はハワイでの津波測定値にも誤差があったようです。
 まあ、私にとっては TUNAMI はサザンの音楽だけでけっこうです。
 ああ、久しぶりに歌いたい。。。